キャンプの楽しみと言えば焚き火。揺らめく炎には極上のリラックス効果があり、自然の中で、ぼーっと焚き火を見つめていると日常の忙しさを忘れることができます。
そんな焚き火ですが、初心者の方は火起こしがうまくいかず、時間がとられてしまうという声をよくききます。
しっかりと火起こしの方法を予習して、本番に備えておきましょう。
薪の種類
薪には針葉樹の薪と広葉樹の薪の2種類があります。火の付きやすさや燃え方など特徴がそれぞれにあり、使い分けることで格段に火起こしがしやすくなります。
針葉樹の薪

針葉樹の薪として一般的なものは
- スギ
- ヒノキ
- マツ
などです。
針葉樹の薪は、一般的に繊維の密度が低いため、軽く柔らかい薪です。油やヤニを多く含んでいるため、炎を高く上げて一気に燃え上がるので火持ちが悪く、広葉樹よりも早く灰になります。
針葉樹の薪は柔らかいので、初心者でもナイフや手斧を使って、簡単に小割にすることが可能です。
広葉樹の薪

広葉樹の薪として一般的なものは
- ナラ
- クヌギ
- カシ
- ケヤキ
などです。
広葉樹の薪は繊維の密度が高いため、重く硬い薪です。油分が少ないため、じっくりと燃えるので火持ちがよく、温度管理がしやすいという特徴があります。
広葉樹の薪は硬いので、ナイフや手斧では思うように割れないこともあります。中には両手斧や、楔を使用しなければ割れないほど、硬い薪もあります。
火起こしの3つのコツ
スムーズに火起こしを行うために以下の3つのコツを意識しましょう。
よく乾燥している薪を使う
焚き火に慣れてくると、水分を多く含んでいる生木に近いような状態の薪でも上手く扱うことが出来ますが、初心者のうちはよく乾燥した薪を使用しましょう。
水分計で薪の含水率を測定。その薪、ちゃんと乾いてる?[焚き火マニア必見]
薪の乾燥状態を調べるためには水分計という機械が販売されており、薪の水分含有率を調べることができます。一般的に、乾燥している薪とは水分含有率が15〜20%と言われています。
3種類の太さの薪を用意し、炎を育てる

着火剤などの火種から、いきなり太い薪に火をつけることはできません。炎を大きく育てるために、最低でも3種類の太さの薪を用意しましょう。
3種類の太さの薪とは、直径2cmほどの小さい薪、直径5cmほどの中くらいの薪、直径10cmほどの薪です。
ほとんどの市販の薪は太い薪の状態で販売されていますので、薪を小割にできるナイフや鉈、斧などが必要になります。

小さい薪と中くらいの薪には、火付きが良く割りやすい針葉樹の薪を用意しましょう。
空気の通り道をつくる

薪はなるべく重ならないように配置し、空間を作りましょう。あまりたくさんの薪を乗せすぎると火が消えてしまうこともあります。
新鮮な空気を効率よく送り込むためには、風向きを意識すると火起こしが楽になります。
焚き火をする場所の風上には何も置かないようにして、薪に風を呼び込みましょう。焚き火台を使用する場合は、風が入る位置に焚き火台を設置しましょう。
ただし、強風が吹いている場合は、風を薪に当てると、火の粉が巻き上がって危険です。風上に風防や陣幕を設置して風を遮るようにしましょう。
火起こしの手順
よく乾燥した3種類の太さの薪と、着火剤を用意しましょう
空気の通りが良くなるように薪を組みましょう。初心者は井桁型、もしくは合掌型がおすすめです。
井桁型

文字通り薪を「井」の字の形に組んでいく組み方です。
中心に着火剤や燃えやすい焚き付けを入れて火をつけることで、隙間から効率よく酸素を取り込み、短い時間で強い炎が得られる組み方です。
合掌型

薪を立てて、それぞれがお互いに支えあう形で薪を組みます。
中央に着火剤や焚き付けを入れて着火すると、炎が中央に集中するので、井桁型のように強い炎を得ることができます。

今回は井桁型を使って火起こしの方法を説明いたします。薪を組み上げたら、真ん中に着火剤を置いて火をつけます。

着火剤に火がつき、小さい薪に火が移ったら、井桁の中央に、小さい薪や細い枝などを挿しこみましょう。
この際、空気の通り道を意識して、小さい薪や細い枝を入れすぎないようにしましょう。

小さい薪にしっかりと火が回ったら、上に中くらいの薪をくべます。
中くらいの薪にしっかりと火が回ったら、太い薪を上にくべ、火吹き棒などで中心に新鮮な空気を送り込みましょう。

太い薪に火が移って、薪の芯から燃えるほど安定した炎になったら、さらに太い薪を追加して火をおおきくしましょう。
この段階まで来たら火おこしは終了。あとは随時、薪をくべれば火が維持できます。

ちなみに今回使用した着火剤はMAAGZの「うんちの着火剤」キリンです。

この着火剤は様々な草食動物のうんちと、高尾の森で採れた、檜や杉などの間伐材(かんばつざい)を粉砕した木くずを固められて作られています。
うんちの着火剤は、嗅いでみると植物の優しい香りがします。
普通の固形用着火剤のようにライターやマッチで火をつけることで使用ができます。小サイズならば約6分間、大サイズならば約10分間燃焼します。
売り上げの一部は野生動物の保護活動に役立てらえます。ヒネリが効いているので、アウトドア好きへのプレゼントにおすすめな逸品です。
絶対に失敗しない火起こし
火起こしの手順を説明いたしましたが、ここで絶対に失敗しない火おこしをご紹介したいと思います。

火起こしに必要なのは適量の段ボール箱だけです。

段ボールを端から丸めて、円筒状にします。

段ボールの中心をめがけてライターなどで火を点けます。
円筒状に丸めた段ボールに火を点けることで、煙突効果が発生し、外部から酸素が効率的に取り入れられます。その結果強力な火力を生み出します。

段ボールの上部からもくもくと煙が上がってきたら、井桁に組んだ薪の中央に差し込みましょう。

あとは放置するだけで、薪に火が移ります。万が一火が移らずに消えてしまったら、もう一度同じ形状にした段ボールに火を点けて、再度、中心に差し込みましょう。
焚き火に著者が愛用している道具

焚き火に著者が愛用している道具をご紹介いたします。
- 焚き火台
- ターボライター
- 火吹き棒
- 斧
- のこぎり
- ナイフ
- ローチェア
- 皮手袋
- 着火剤

火吹き棒は、無くても焚き火はできますが、あると炎のコントロールが容易になるので便利な道具です。
TAKIBIZMの火吹き棒 BRETH TO FIREは初心者だけでなくベテランにも勧めたいギアだった!

斧(もしくは鉈)、ナイフがあれば、太めの薪を小割にできます。焚き火台に入らないような長さの薪も、のこぎりがあれば短くカットできます。
私がグレンスフォシュ ブルークの斧をおすすめする理由。スカンジナビアンフォレストを徹底レビュー!

皮手袋は、着用して薪割りなどの作業をすることで、怪我のリスクを減らすことができます。厚手の皮手袋ならば、火のついた薪を掴むことが出来るので、火ばさみが無くても薪の配置を変えることができます。
ヘリノックス グラウンドチェア レビュー。地べた感覚が味わえる超軽量チェア。
焚き火の前に長く居座るためには、ローチェアがあると便利です。ローチェアに座れば目線が低いので、焚き火台でも直火でも焚き火を楽しむことができます。
焚き火用の道具は煤で汚れやすく、煙でいぶされて、焚き火の臭いがしみ込んでいくものです。ほかのキャンプ道具とは分けて収納するのをおすすめします。

著者は焚き火用の道具を、すべてまとめてキャンバス地のトートバックに収納してます。
厚手のキャンバス地はナイロンとは違い、タフに扱うことができます。焚き火周りの重くなりがちな道具を収納しても簡単には穴が開きません。
使い込むほどに色落ちを楽しむことができ、煤がついてもそれが味になります。
焚き火の火起こしは難しくない!

今回は火起こしのコツをお伝えいたしました。
特に段ボールを丸めて着火剤にする方法は、手軽に強力な炎が得られるので便利ですよ。初心者でも確実に火がつけられます!ぜひお試しくださいね。