キャンプの醍醐味といえば、何と言っても焚き火。
著者の場合は焚き火をするためにキャンプに出かけていると言っても過言ではありません。焚き火で調理した料理に舌鼓を打ち、暗闇を照らす炎を眺めて過ごすのは至福のひとときです。
キャンパーを魅了してやまない焚き火ですが、キャンプ人口の増加と共に、各地のキャンプ場や野営地で焚き火に関係する問題が発生しています。
その問題のひとつとして挙げられるのが、焚き火の後始末です。
なぜ焚き火の後始末が重要なのか?
焚き火の後始末とは、主に焚火を行った後に発生する、薪や炭の燃え残りの処理のことです。
燃え残りの処理がなぜ重要なのでしょうか?以下の3つの点から御説明いたします。
1.炭を放置すると環境に負荷がかかる
炭は薪を燃やした後に発生するものなので、自然に還るものと思いがちですが、そうではありません。
焚き火やBBQを行った後に発生した炭を、土の中に埋めてしまうのはNGです。土の中に存在する微生物は、時間をかけても炭を分解することができません。
もちろん、炭自体は有害な物質ではありません。万が一自然の中に放置しても、少量ならば自然に悪い影響を与えるものではないでしょう。
しかし、キャンプ地を利用した人が皆、その場に炭を埋めてしまったり、放置してしまったりしたら、どういうことがおこるでしょうか?
炭は簡単には自然に還らないので、キャンプ地の地面はあっという間に炭だらけになってしまいます。元々その場所に無かった物質が、大量に増えるわけですから、環境に負荷を与えてしまうことになるでしょう。
2.焚き逃げはサイトの景観を大きく損なう
焚き逃げという言葉をご存知でしょうか?
焚き逃げとは、焚き火をした後の後片付けを怠り、焚き火で出た炭や薪の燃えカス、かまどにするために組んだ石をそのままにして放置することです。
この焚き逃げが横行し、全国各地の野営地や、無料のキャンプ場が閉鎖になりました。その多くが、無人のため、場内の管理が難しくなったからです。直火OKだったキャンプ場が、直火NGのキャンプ場になったケースもあります。
焚き逃げによって焦げた芝生や、放置された炭は見ていて気持ちがいいものではありません。
ひどい場合は焚き逃げだけでなく、焚き火跡の中に溶けたビニール片があったり、ビンや缶などのゴミがそのまま放置されたりしていることもあります。
3.火の不始末は火災につながる
炭や燃え残りをそのまま放置するのは非常に危険な行為です。
焚き火は燃やし尽くしたと思っていても、芯のほうで燃えていることが多々あるからです。
炭や燃え残りから、突風によって舞い上がった火の粉は、思いもよらない場所まで飛んでいき、枯草や他のキャンパーのテントに引火して火災を引き起こす可能性があります。
焚き火の後始末と焚き火台の後片付け
最も重要なのは薪や炭を確実に灰にすること
焚き火の後始末で、最も重要なのは、焚き火に使用した薪や炭をきっちりと灰にすることです。
きっちりと灰にするためには、火にくべる薪の量を意識して焚き火を行いましょう。
灰になるまでの燃焼時間は、使用する薪や炭の種類や、焚き火台の構造によって大きく変化します。
薪や炭を燃やしきるのに、便利な道具が火吹き棒です。焚き火に効果的に酸素を送り込むことにより、燃焼を早めることができます。
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薪や炭を燃やして出た灰は、キャンプ場のルールに従って処理しましょう。
キャンプ場に指定の灰捨て場があるならば、そこに捨て、無い場合は、灰がしっかりと冷めているのを確認した後、容器に入れて持ち帰りましょう。
薪や炭を燃やしきれなかった場合は?
焚き火の炎をコントロールして、思った通りの時間内で薪や炭を燃やしきるのは、ある程度の経験が必要になります。
焚き火に慣れていない方は、薪や炭を燃やしきれないこともあるでしょう。
時間内に燃やしきれなかった薪や炭に水をかければ、一気に火を消すことができますが、絶対にやめましょう。
焚き火に上から水をかけると、灰と水蒸気が一気に舞い上がるので、火傷のリスクがあります。お隣のキャンパーに対しても、非常に迷惑な行為です。
また、熱くなっている焚き火台に水をかけると、急激な温度変化により、焚き火台自体がゆがんで変形してしまう恐れがあります。
水を使って火を消す場合は、水をたっぷりと入れた容器に、火がついたままの薪や炭を直接入れて消火するようにしましょう。
焚き火をすぐに消したい場合に、便利なのが火消し壺です。
火消し壺の中に、火がついたままの薪や炭を入れ、蓋をして密閉することにより、酸素の供給を絶って火を消すことができます。
火を消した後は、消し炭を中に入れたまま、自宅に持ち帰ることもできますよ。
火消し壺の中に入れた炭や薪は、蓋をしてしばらく待てば消火します。
消火の最中は火消し壺自体が高温になるので、火傷にはご注意くださいね。炭を自宅に持ち帰る場合は、火消し壺の温度が下がっているのを確認してから車に積みましょう。
焚き火台の後片付け
焚き火台から、灰や炭を取り除きます。
焚き火台の表面についた灰を、ブラシやたわしで払いましょう。ブラシにはMAAGZから販売されている「猪毛の焚火台そうじブラシ」が便利です。
猪毛の焚火台そうじブラシは、固めの毛質で適度なコシがあるため、焚き火台に残った灰をくまなく落とすことができます。
焚き火台を傷つけることがない適度な硬さがあり、細かい所までしっかりと綺麗にできます。焚き火台以外にも、チェアやテーブルについた泥の掃除にも便利なブラシですよ。
焚き火台の表面の灰を払ったら、固く絞った雑巾で拭いて、大まかな汚れを落とします。
焚き火台の全体を拭いたら、日当たりが良く、風通しの良い場所でよく乾かしてから収納しましょう。
キャンプ場の炊事場では焚火台を洗うことを禁止している場合が多いです。自宅に帰ってから焚き火台を水洗いして、しっかりと仕上げの掃除をしましょう。
直火の後始末の方法
地面に石でかまどを作って、直火で焚き火をした場合の後始末の方法をお伝えします。
薪や炭をきっちりと灰になるまで燃やしきってから、かまどにした石を崩します。石は元あった場所に戻しましょう。
薪や炭が燃やしきれずに残った場合は、焚き火台の後片付けと同様に、キャンプ場の指定された場所に捨てるか、持ち帰ち帰りましょう。
手ごろな枝やスコップなどで、灰が目立たなくなるまで、残った灰と土を混ぜ合わせて、地面をならします。
灰の上に少量の水をかけると、うまく灰と土を混ぜ合わすことができますよ。
灰と土がよく混ざったら、地面に触れて、地面が冷めていることを確認します。
その後、近くにある落ち葉などを上にまいて、周りと同じ状態にします。どこで焚き火をしたかわからなくなるぐらいまで、しっかりと後始末をしましょう。
後片付けをしっかりして自然にも人にも優しい焚き火をしよう
焚き火の後片付けは「来た時と同じ状態に戻すこと」を心がけて行いましょう。
自分の後に来る人や、お世話になった自然のことを考えて、最後までしっかりと後始末を行うことが大切です。