SOTO ウィンドマスター[SOD-310] レビュー
OD缶(アウトドア)缶を燃料源とする人気のアウトドアバーナー、SOTOのウィンドマスター[SOD-310]のレビューです。
その名の通り、風や寒さに強い仕様で「マイクロレギュレーター=ガスの圧力を調整する装置」を搭載。
それでいて、仕舞寸法のコンパクトさも兼ね備えたシングルバーナーです。
出典:SOTO
SOTO社からリリースされているシングルバーナーの中で、もっとも軽量かつ高出力なフラッグシップモデルですね。
(単純な出力的にはストームブレーカーが最強ですが、ガソリンとガス缶のW燃料という特殊なモデルです)
CB(カセットボンベ)缶とOD(アウトドア)缶
アウトドア用のガスバーナーには、カセットボンベ(CB)缶と、アウトドア(OD)缶の2種類の燃料源があります。
それぞれの特徴をさらっとご紹介します。
CB缶の特徴
- コンビニやドラッグストアなどどこでも入手できる
- コストが安い
- 一般的に、出力はOD缶に劣る
- 低温に弱い
OD缶の特徴
- アウトドアショップなど限られた販売店でしか売っていない
- CB缶より高価
- 一般的に、出力が強い
- 低温にも強い
今回ご紹介するSOTO社のバーナーは、出力特性に優れたOD缶を利用したバーナーとなります。
SPEC
サイズ(mm) | 収納時=幅4.7×奥行9.0×高さ8.8cm、 3本ゴトク使用時=幅9×奥行11.7×高さ10cm、 4本ゴトク(別売)使用時=幅9×奥行11.7×高さ10cm |
重量 | 3本ゴトク使用時=67g 4本ゴトク(別売)使用時=87g |
発熱量 | 3.3kW(2800kcal/h) |
使用時間 | SOD-725T使用時=約1.5時間 SOD-710T使用時=約0.8時間 |
使用燃料 | SOTO製品専用容器(OD缶) |
ゴトク外径 | 直径100mm |
原産国 | 日本 |
ディティール
バーナー&ゴトク
バーナーとゴトクです。バーナーはすり鉢状で風に強い設計。
ゴトクは取り外し出来る仕様で、壊れてもゴトクだけ交換することが容易です。
「トライフレックス」と呼ばれる3本脚の標準ゴトクは、このように非常に小さくなるため、可搬性に優れます。
ただし、3本仕様&やや短めですのでクッカーを置いた時の安定感はあまり良くない印象。
少しかさばりますが、別売りのウインドマスター用4本ゴトク フォーフレックス SOD-460(下)を用意すると、より機能的になりますね。
機能面だけでなく、見た目もこちらの方が圧倒的にかっこいいですね。
欲を言えば、標準装備してほしいアイテムです。
ガス調整ツマミ&点火スイッチ
ガス調整ツマミ。ワイヤー式の調整つまみは非常に使いやすいです。
点火装置(イグナイター)。こちらもシンプルで操作しやすいですね。
また、風が強い状況下でもしっかりと点火してくれるのも美点です。
メリット
とにかくパワフル
簡易的ではありますが、実際に湯沸かし実験をしてみました。
水道水を500mml用意し、完全に沸騰するまでの時間を計測。気温は12度、湿度79%。ガスの出力つまみをMAXまで調整し点火。
燃料は、同社の指定OD缶である、SOD-725Tを使用。
沸騰の定義は難しいですが、沸騰し始めの小さな気泡の発生タイミングではなく、大きな泡がボコボコと鍋底から上がってきたタイミングです。(その状態でほぼ100度近い温度となります)
2分3秒というタイムでした。肌感としてもかなり早い印象で、シュゴー、といういかにも熱量のありそうな燃焼音もして、非常に頼もしいですね。
同社のST-310との比較
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参考までに、同社のST-310とのタイム比較です。こちらはいわゆる「CB(カセットボンベ)缶」を燃料とするシングルバーナーです。
カタログスペックの出力は、2500kcal/h。(今回ご紹介しているウィンドマスターは、2800kcal/h)
全く同条件で実験し、こちらは3分2秒というタイムでした。
シュゴー!という燃焼音は近い感覚で、こちらも早く湧きそうな印象ですが、タイムはかなり違いました。
ゴトクに高さがあり、クッカーがバーナーから少し離れてしまうのも、タイムが遅い原因かもしれません。
また、燃料缶がSOTO指定のモノではないため、その点も少し不利である可能性があること、ご了承ください。
高い防風性能
合わせて、ちょっと意地悪な実験も実施しました。「ウィンドマスター」という名称ですので、風に強いかどうかの実験です。
扇風機の風をサイドから無遠慮に吹かせた状態で、同様の条件で計測。タイムは3分18秒でした。
扇風機の風は「強」で、首振りも無しの状態。それでこのタイムはめちゃくちゃすごい事です。
実際に自然環境下ではここまで無遠慮に風が吹き続けるということはないでしょうから、風が吹いていても、もっと早いタイムで沸くはずです。
正直、実験をする前は防風性能についてやや懐疑的なところがあったのです。なぜなら、風防などは無い形状だからです。
しかし、いい意味で見事に裏切ってくれました。
なぜ風防が無いのに風に強いのか?と言いますと、一つはバーナーと鍋の距離が極限まで近い状態であることが挙げられます。
風の入る隙間が無いので、強風下でもエネルギーロスしにくいです。また、そもそもの火力が強力ということもありますね。
さらに、先述したようにバーナーがすり鉢状となっていることや、バーナーが直噴型の形状でまっすぐ火が上がることも理由です。
風防をわざわざ持っていく必要がない、という事でもあるので、荷物を減らしたいバックパックスタイルやツーリングなどでも活躍してくれます。
かなり実力派のシングルバーナーである、ということが分かりました。
ST-310も同様に実験
ちなみに、ST-310でも同様の実験を行ったのですが、結論から言って、扇風機の強を当て続けると、5分を過ぎてもお湯が湧く気配がありませんでした。
ほとんどの熱が逃げてしまい、鍋も触れる程度にしか熱くならない状態です。
しびれを切らして、扇風機の風を弱にし、首振り状態にすることでようやく7分を過ぎた頃に沸騰させることが出来ました。
とは言え、ST-310も手軽なCB缶を利用出来るシングルバーナーでありながら、かなり強力な熱量を誇る優れたバーナーであることは間違いないです。しかしちょっと意地悪な耐風性実験では、やや弱い印象でした。
ST-310を強風下で使用する場合には、風防を使うなど、対策が必要そうです。
火力調整が容易
火力調整がしやすいのも特徴の一つです。写真は、とろ火状態。
ガスの出力をかなり絞った状態でも、消えたり、不安定になったりせずに安定した火力供給が出来るバーナーです。
全開状態です。ただMAX火力が強いだけでないのが嬉しいですね。
デメリット
ランニングコストは高め
デメリットとしてはランニングコストはやや高めだということです。燃費面では他のシングルバーナーに劣り、ガスの減りは明らかに早い印象ですね。
しかし、ちょっとした風にビクともせず圧倒的な火力を実現してくれるので、少しの燃費の悪さはあまり気にならないところかもしれません。
重心が高い
それから、重心がやや高い事ですね。(公称値で、本体の高さは100mm)
その点は、分離式のシングルバーナーや、CB缶を仕様したタイプのシングルバーナーには劣る点です。
まとめ
- 圧倒的な出力を誇る、OD缶仕様のシングルバーナー
- ハイパワーなのに極めてコンパクト
- 風にもめっぽう強い
- とろ火も得意
- 出力を求める場合には最高にマッチング
- 燃費は良くない
以上、SOTOのウィンドマスター[SOD-310]のレビューでした。
maagzを最後までお読みいただきありがとうございました。